今後の方針の決定
精神病の妻が入院した後に残された課題がたくさんあります。その中でも最も重要なことが、「今後のチューヨーの仕事をどうするか?」でした。
親族が提案してきたのは、子供達だけ妻方またはチューヨー方の祖母宅に預けて、チューヨーが仕事を続けるというものでした。妻の入院直後ということもあり、親族も疲れ果て、深く考えられず安直な考えしか浮かびません。
私にとっては受け入れがたい提案でした。ただでさえ、妻と離れ離れになってしまった家族が、さらにバラバラになってしまう。そんなことは避けたかったのです。
もう一つの案が、長女ちゃんを学童保育、次女ちゃんを保育園にそれぞれ預ける生活です。この場合も家で一緒に生活ができますが、朝と晩に顔を合わせるだけ。そんな生活は望んでいません。
また、毎日、次女ちゃんを保育園に送り迎えし、職場で仕事して、帰宅して、家事の全てを一人でやる。想像しただけでも疲れてしまい、とても自分ができるようなこととは思えませんでした。職場の制度や同僚の理解が得られるのかも不安でした。
育児休業への決断
考えに考え抜いた結果、私が出した案は、「チューヨーが育児休業を取得する!!」でした。
しかし、義母から「チューヨーのキャリアに支障が出る」という反対意見がありました。
ただ、私としては、はっきり言ってキャリアなんか考えている状況ではありません。また、昇進を望んでいないので、キャリアなんてどうでも良かった。
義母としては、自分の娘のせいでチューヨーに迷惑がかかるのを避けたいというメンツがあったのでしょうが、今はそれが迷惑です。義姉に義母の説得をしてもらうため、私の考えを伝えました。義姉は私が育休を取得するのが一番良いと賛同を得られました。私の考えにいつも否定的な義母も、義姉の説得に折れました。これで家族がバラバラにならずに済みました。
育児休業の取得方法
次の目標は、育休の取得です。職場によって様々でしょうが、私は次の手順で取得しました。
- 職場に育休取得の意思を伝える
- 育休取得の条件の確認
- 申請書類の準備と提出
- 業務の引き継ぎ
- 育休の承認
順番に詳しく説明します。
職場に育休取得の意思を伝える
今年、最初の出勤をした1月14日。こんなに業務に穴を空けてしまったのに「気にすることない」と言っていただいた上司に会えて、涙を抑えることができませんでした。
上司に、妻が医療保護入院になったこと、いつ退院になるかわからないこと、まだ0才の次女ちゃんの面倒を見なくてはいけないことを説明しました。
私の職場では、男性が1年超の育休を取得したことがありません。そのことを理解してくれた上司が管理職にも説明してくれました。そして、私も直接、管理職に説明し、今後の見通しが立たないため、できるだけ長い期間(来年度末の2022年3月末までの1年2ヶ月間)での育休を認めてもらいました。
育休取得の条件の確認
女性で産前産後休暇から引き続き育休を取得するパターンはよくありますが、男性が取るとなった場合、どのような条件が必要なのでしょうか。管理職から育休を認めてもらいましたが、実際のところ、制度的にどうなのか不明です。
職場の同僚も知りませんでしたので、総務担当に話をすることになりました。すると、妻の状況がどうであれ、1才までは無条件で取れます。そして、育児に当たる予定であった者(私の場合は妻)が死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合は、2才まで取得できるとのことです。妻の状態は、この条件を満たしていました。
なお、両親とも養育できる状態であっても、「パパママ育休プラス」という制度を使えば、子どもが1才2ヶ月になるまで育休を取得できます!
ただし、パパとママの両方が1年2ヶ月間取れるわけではないので注意してください。詳しくは厚生労働省の資料を参照してください。
もっと早く知っていればよかった
男性の育休取得が現在では珍しくありません。ただ、長女が生まれた2014年当時は男性での取得は非常にまれでした。1才までは両親とも無条件で取得できそうなブログ記事がありましたが、実際に取得した人は僅かでしょう。職場の雰囲気としても、妻が育休を取得しているのに、なぜ夫も取得するのか?というものでした。
その考えをアップデートすることなく、次女ちゃんが生まれた後も当たり前のように育休を妻に取得させた私。私も妻と一緒に育休を取っていれば、病気にならなかっただろう、と強く思うのでした。
したがって、子どもが生まれたら男性も一緒に育休を取っていきましょう!
申請書類の準備と提出
子どもが0才の場合の申請に必要な書類は、多くありません。自分の子であることと、子どもの年齢がわかる書類があれば大丈夫。住民票の写しでも良いですし、私は母子手帳の写しを提出しました。
子どもが1才や1才半を超える時の育休は、条件を満たす必要があるため、条件に合わせた書類が必要になります。
業務の引き継ぎ
同僚の一人一人に次のことを説明しました。家庭の状況、育休を取得すること、いつ職場に復帰するか不明であること。そして、自分が担当していた業務の進捗や注意点を伝え、引き継ぎました。
幸いなことに、私は業務の進捗状況を常に記録していたため、引き継ぎがスムーズでした。これは、0才の次女ちゃんがカゼ等をひいたときに、急に休むことがあるので、日頃から心がけて記録していました。
育休の承認
申請から3日で承認が出ました。これで、男性初の1年超の育休取得者です。育休前の出勤最終日が本当に最後の出勤日になるのではないか、と思ってしまうくらい先が見えない状況でした。同期や仲の良い同僚にあいさつしたときには、またまた涙があふれてくるのでした。
育休取得の注意点
男性で急遽、育休を取るときには注意点があります!
すぐに承認が出ない
事前に準備していた育休ではありませんので、明日から育休取りますと言っても取れません。内部での決裁のための期間が必要です。私の場合は、至急の決裁にしていただいたので、3日間でした。ただし、出勤せずに育休までの期間を有給休暇で休むことも可能でしょう。
なるべく早く定期券を払い戻そう
定期券で通勤している場合、育休中は通勤手当が支給されません。さらに、通勤手当を6ヶ月分など、事前に支給されている場合は、日割り計算で手当を返還します。
一方で、定期券の使用日数にもよりますが、鉄道会社で払い戻される額が1ヶ月単位です。また、手数料がかかるため損します。損をなるべく少なくするために出勤する最終日に定期券を払い戻しましょう。
ふるさと納税の控除額を確認
育休後は、給与収入がなくなり育児休業手当が生活の源になります。手当は課税対象ではないので住民税控除が特徴のふるさと納税の恩恵が受けられる額が下がります。控除額がわからない場合は、ふるさと納税を控えると良いでしょう。
近所への説明が必要か?
妻が入院して、私が常に家にいることになり、近所から変な目で見られるかもしれない。したがって、近所の不安を取り除く意味で隣近所に事情を説明した方が良いのでは?と考えましたが、不要と判断して何もしませんでした。理由としては次の通りです。
- コロナ禍で在宅勤務が増えたこと
- 実際に私も2020年の春頃に2週間在宅勤務であったこと
- 在宅勤務中に近所から変な目で見られなかったこと
幸いなことに、コロナの影響で平日の昼間に中年男性が家にいることが、不自然なことではなくなりました。
地震などの緊急時に共助が必要と感じるのであれば、配慮をお願いするために説明することはあるでしょう。しかし、世間体を気にして近所に説明する必要はありません。実際に私が平日昼間に次女ちゃんとフラフラしていても、近所の皆さんは普段通り接してくれました。