医師との面談で、精神病院に医療保護入院していた妻の退院が4月7日に決定しました。妻の状態は、入院当初に比べて格段に良くなっていました。しかし私には不安がありました。理由は次のとおりです。
- 大部屋に移ったが一時、個室に戻されたこと
- 薬を拒絶したこと
- 不安になって、私に電話してくること
- 長女ちゃんの卒園式までに何とか退院しようとすること
- 他の患者が退院し、しばらくして再入院していること
- 退院の理由が人権優先に考えられていること
- 病名がはっきりしないこと
- 子どもたちへの虐待
詳しく紹介します。
大部屋に移ったが一時、個室に戻されたこと
入院時は、会話もままならず、入浴介助が必要なくらいの状態ですから、個室に入れられました。その後、自分の身の回りのことができるようになったため大部屋に移りました。しかし、状態がまだ良くなかったのか、深夜に同部屋の患者に話しかけ、起こすのです。当然ながら、個室に戻されてしまいました。
詳しい事情を知らなかった私は、妻からの電話で個室に戻ったことを知ります。治療のために個室に入るのには追加の費用がかかりませんが、それ以外では費用がかかってしまいます。妻に理由を聞いても、的を射た答えがありません。
病院に問合せました。すると上記の事情であることと、妻が患者を起こしたことを覚えていないことを教えてもらいました。そのため、妻をあまり刺激しないようにお願いされました。それからは私から個室の件は話さなくなりました。
その後、すぐに大部屋に戻ってからは、個室に行くことはありませんでした。
薬を拒絶したこと
妻は、医療関係者のため薬の知識があります。自身が精神病の薬を飲むなんて信じられないといった感覚がありました。したがって、初診のクリニックで処方された薬を飲みませんでした。
さらに入院中に処方された薬も拒絶しました。妻は、体に合わないから飲まないと主張していたようです。こんな状態で症状が良くなるのだろうかと私は不安でした。
しかし、薬を変更してからは、しっかり服用を続ける妻。以前の薬が本当に体に合わなかったのかどうかわかりませんが、ひとまず安心といったところです。
不安になって、私に電話してくること
入院中にスマホが解禁された妻は、しょっちゅう私に電話やLINEをしてきます。家事をこなしていた私は、妻の電話がだんだんと負担になります。調理中や洗濯物干し中には、スピーカーに切り替えることにより、家事しながら通話しました。
妻は不安があって電話してきますが、妻が入院している限り、私は妻への不安はありません。しかし、退院するとなると、原因不明の不安を正面から受け止めなければなりません。そのことを考えると私も不安になるのでした。
長女ちゃんの卒園式までに何とか退院しようとすること
妻の目標として、長女ちゃんの卒園式(3月16日)に参加するため、それまでに退院するという目標がありました。その目標に向けて、妻が主治医に退院のお願いをしていましたが、医師の判断は、まだ退院できないというものでした。すると今度は、妻が私に対して、退院できるように促してほしいとお願いするのです。
専門医かつ普段から診察している主治医が退院できないと判断している以上、私に退院を促すことなどできません。妻からのお願いを受け流して断っていましたが、強い口調で迫られます。もはや、退院を迫るような妻の状態が、まだまだ退院できない状態だと判断しました。
そこで、私は妻に次のことを伝えました。
- 私の力では妻の病気を治せなかったこと
- 入院させた判断は間違っていないこと
- しばらく入院することが最善だと考えていること
- 妻の状況を十分に把握しているのは病院であること
- 退院の時期がいつになろうと、私は妻のサポートを続けること
- 再入院しないためにも、時間をかけて治療すべきこと
丁寧に説明し、しばらく時間が経ったら、早急な退院をあきらめてくれました。
他の患者が退院し、しばらくして再入院していること
妻の話によると、退院した患者が再入院するパターンがあるようです。厚生労働省のホームページでも、うつ病の再発率が高いため、ゆとりのある生活を心がけるよう呼びかけています。
なんとか妻を再入院させないようにしなければなりません。退院後の私の目標は、妻を再入院させないことです。そのためにも、化学療法(服薬)、心理療法、規則正しい生活について理解し、行動しなければなりません。
退院の理由が人権優先に考えられていること
面談で退院の理由を主治医に尋ねました。妻が本当に退院しても良い状態なのかどうか疑問だったからです。すると主治医は、「状態というよりも、医療保護入院が法律で3ヶ月と決まっている」と説明してしました。
妻が入院の継続を望んでいない以上、強制的に入院を継続できない制度なのです。それは、人権保護のためです。人権保護は理解できますが、2人の子どもを抱える患者家族としては何とも不安な理由なのでした。
病名がはっきりしないこと
初診のクリニックでは、産褥期精神病(さんじょくきせいしんびょう:いわゆるマタニティブルー)と診断されましたが、主治医いわく、「どうも双極性障害かもしれない」とのことでした。
産褥期精神病と双極性障害には予後の良、不良に差があります。産褥期精神病は、比較的に予後が良好で、次回の妊娠出産時に注意を要すると言われています。一方で、双極性障害は、予後が不良で、再発率がとても高く、常に注意が必要であると言われています。
ただし、病名が何であろうと退院後の生活の変化には、注意が必要なのだろうと感じました。
子どもたちへの虐待
退院に関して、医師の説明で衝撃を受けたのは、子どもたちへの虐待でした。虐待には暴力や暴言など様々な形がありますが、医師が心配していたのは、子どもの前で泣くことでした。親が泣くことや親が不安定な状態になることについて、その理由を子どもが理解できない場合は、子どもも同様に不安定な状態にし、心理的外傷を負わせるのです。これが虐待になるとは夢にも思わなかったのですが、長女ちゃんに夢遊病の症状が現れるなど影響が出ていました。
長女ちゃんはもうすぐ、小学生です。次女ちゃんとは違い、妻の状態を如実に見ています。さらに、双極性障害などの精神疾患は遺伝しやすい病気です。長女ちゃんが病気の因子を持っていることも十分考えられます。
子どもたちへの影響がなるべく無いように生活を送らなければなりません。無事に元気よく長女ちゃんが小学校に通ってくれることを願うばかりです。
退院は4月7日
様々な不安を抱えつつ、退院の日を迎えるのです。